このブログでは、会社のネットワークの守り方を順番にお伝えしています。
- 1本目:会社の「入り口」を守る(ウイルスソフトとUTMは何が違う?)
- 2本目:会社の「内側」を守る(入り口を守るだけでは足りない?)
入り口と内側を守れば、被害に遭いにくく、広がりにくい会社になります。それでも、被害に遭う可能性をゼロにすることはできません。
そこで3本目のこの記事では、「もしも」が起きたときに会社を止めないための「備え」について、専門用語をできるだけ使わずに説明します。
「もしも」は、ウイルスだけではありません
会社のデータや仕事が止まる原因は、いくつもあります。
- ウイルスに感染して、ファイルが開けなくなる(身代金を要求する「ランサムウェア」など)
- パソコンや、社内の共有ハードディスク(NAS)が壊れる
- 停電や落雷で、機器が止まる・壊れる
- インターネット回線が切れて、メールやクラウドが使えなくなる
- 社員がうっかり大事なファイルを消したり、上書きしたりする
どれも、ある日突然起こります。そして、起きてから準備を始めても間に合いません。
止まると、どれくらい困る?
警察庁のまとめ(2025年)では、ランサムウェアの被害に遭った会社・団体のうち、1か月未満で元に戻れたのは5割強にとどまっていました。つまり、半分近くは1か月以上かかっています。
また、元に戻すために1,000万円以上かかった会社・団体は、全体の5割を超えていました。
一方で、被害に遭った会社・団体のうち、こうしたときの対応をあらかじめ決めていた(BCP=事業を続けるための計画を作っていた)のは、約18%だけでした。
見積書が出せない、請求書が作れない、お客さまの連絡先がわからない。この状態が1か月続いたら、と考えてみてください。
出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」
バックアップは「とっているだけ」では足りない
備えの中心は、データのコピーを別の場所に残しておく「バックアップ」です。ただ、「バックアップはとっている」という会社でも、次のような落とし穴がよくあります。
- コピー先が社内につながったまま:ウイルスはつながっている機器にも広がるため、コピーまで一緒に使えなくなることがあります。警察庁も、復旧をじゃまするためにバックアップも一緒に暗号化される場合が多いと注意を呼びかけています
- コピーが1か所だけ:その1台が壊れたら終わりです
- 毎回上書きしている:おかしくなった状態のファイルでコピーが上書きされ、元に戻せません
- 戻せるか試したことがない:いざというときに「中身が空だった」「戻し方がわからない」ということがあります
目安としてよく使われるのが「3・2・1」という考え方です。
- データは、元のデータを含めて3つ持つ
- 保存先は、2種類以上に分ける(例:社内のハードディスクとクラウド)
- そのうち1つは、社外や、ふだんはつながっていない場所に置く
会社を止めないための「備え」4つ
① 守るデータを決める
すべてを完璧に守ろうとすると、続きません。まずは「これが消えたら仕事が止まる」データを決めます。顧客名簿、見積書・請求書、会計データ、図面や写真など、会社によってちがいます。
② 社内とは別の場所にもコピーを置く
社内のハードディスクに加えて、クラウドや、ふだんは外しておく外付けハードディスクなど、「社内のネットワークから離れた場所」にもコピーを置きます。
③ 「何日前まで戻れるか」を決める
昨日の状態だけでなく、1週間前、1か月前の状態にも戻せるようにしておくと安心です。ウイルスは、気づくまでに時間がかかることがあるからです。
④ 年に1回は「戻す練習」をする
バックアップから実際にファイルを1つ戻してみるだけで、「本当に使える備え」かどうかがわかります。戻す手順を紙に書いておけば、担当者がいないときでも慌てずにすみます。
あわせて:停電と回線にも備える
データが無事でも、電気やインターネットが止まれば仕事は止まります。
- 大事な機器には、停電したときに少しの間だけ電気を送り、安全に電源を切れるようにする装置(UPS)をつなぐ
- 光回線が切れたときに、スマホと同じモバイル回線へ切り替えられるようにしておく
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よくある質問
クラウドに保存していれば、バックアップは大丈夫ですか?
社外に置いてあるのは大きな安心材料です。ただ、パソコンと自動で同じ状態にそろえるタイプのサービスだと、ウイルスで使えなくなったファイルや、うっかり消したファイルまでそのままクラウドに反映されることがあります。「何日前の状態に戻せるか」を一度確認しておきましょう。
外付けハードディスクにコピーしていますが、それで十分ですか?
コピーがあること自体は大切です。ただ、パソコンにつなぎっぱなしだと、ウイルスに感染したときに一緒に使えなくなるおそれがあります。コピーするときだけつなぐ、2台を交互に使って1台は社外に置く、といった工夫をおすすめします。
IT担当がいない会社は、何から始めればいいですか?
まずは「これが消えたら仕事が止まる」データを3つ書き出すところからです。顧客名簿、見積書・請求書、会計データなどが多くの会社で候補になります。守るものが決まれば、どこに・どれくらいの頻度でコピーするかを決めやすくなります。
現場から一言
以前伺った会社では、仕事のデータを社員それぞれのパソコンに保存していました。ある日、1台のパソコンが急に故障。買い替えることになりましたが、中に入っていたデータは取り出せず、見積書や取引先とのやりとりを一から探し直すことになり、しばらく仕事に支障が出てしまいました。
パソコンは、いつか必ず壊れます。「データはパソコンの中」のままにせず、1か所にまとめて、別の場所にもコピーを残しておく。それだけで、もしもの時の困り方は大きく変わります。
まとめ:今日できること3つ
- 「これが消えたら仕事が止まる」データを3つ書き出す
- そのデータのコピーが「どこに」「何日分」あるかを確認する
- コピーからファイルを1つ戻せるか、実際に試してみる
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