「うちはウイルスソフトを入れているから大丈夫」。中小企業の社長さんから、とてもよく聞く言葉です。
ウイルスソフトはもちろん大切です。ただ、ウイルスソフトとUTMは、守っている場所がまったくちがいます。この記事では、専門用語をできるだけ使わずに、その違いを説明します。
ウイルスソフトは「パソコン1台1台」の見張り役
ウイルスソフトは、パソコンに入れて使うソフトです。パソコンの中に入り込んだウイルスを見つけて、取り除いてくれます。
ただし、守れるのは「そのソフトが入っているパソコン」だけです。
- 複合機、ネットワークカメラ、ルーターなど、ソフトを入れられない機器は守れません
- 更新の期限が切れたり、止まっていたりすると、そのパソコンは無防備になります
- 社内のパソコンが10台あれば、10台すべてで正しく動いている必要があります
UTMは「会社の入り口」の警備員
UTM(ユーティーエム)は、インターネットと社内のネットワークの間に置く機器です。会社に出入りするすべての通信を、入り口でまとめてチェックします。
- 外部からの不正なアクセスを遮断する
- ウイルスや危険なサイトとの通信をブロックする
- 迷惑メールや怪しいWebサイトへの接続を防ぐ
たとえるなら、ウイルスソフトが「各部屋の鍵」、UTMは「会社の玄関の警備員」です。玄関でチェックするので、ソフトを入れられない複合機やカメラの通信も守れます。
図で見る:守る範囲のちがい
インターネット
UTM
入り口の警備員
御社の社内
- パソコンウイルスソフト
- パソコンウイルスソフト
- ノートPCウイルスソフト
- 複合機
- ネットワークカメラ
- スマホ
| ウイルスソフト | UTM | |
|---|---|---|
| 守る場所 | パソコン1台ずつ | 会社の入り口(社内全体) |
| 置く場所 | 各パソコンに入れる | ルーターの近くに1台 |
| 守れる機器 | ソフトを入れたパソコンだけ | 複合機・カメラなど社内すべての機器の通信 |
| 得意なこと | パソコンに入り込んだウイルスの発見・駆除 | 外からの不正アクセスを入り口で遮断 |
| 苦手なこと | ソフトが入っていない機器、入り口からの侵入 | USBメモリなど、入り口を通らない持ち込み |
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なぜ今、「入り口」が狙われるのか
警察庁の集計(2025年)では、ランサムウェアの被害226件のうち、約6割にあたる143件が中小企業でした。
さらに、感染経路の回答があった92件のうち、VPN機器が61件、リモートデスクトップが19件。約9割が、インターネットとつながる「入り口」からの侵入でした。
ウイルスソフトがパソコンを守っていても、入り口が開いたままでは、攻撃者はそこから入ってきます。
出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」
結局、どちらが必要?
答えは「両方」です。
- 入り口はUTMで守る
- 万一すり抜けたものは、パソコンのウイルスソフトで止める
このように守りを重ねることで、どちらか一方よりも被害に遭いにくくなります。UTMを入れても、ウイルスソフトは外さないでください。
現場から一言
診断で伺うと、「ウイルスソフトは入れている」とおっしゃる会社でも、実際に画面を開くと期限が切れたままだった、ということがよくあります。入れたつもりで安心しているのが、一番危ない状態です。まずは今の状態を一緒に確認するところから始めましょう。
まとめ:今日できること3つ
- 社内のすべてのパソコンで、ウイルスソフトが有効になっているか、期限が切れていないかを確認する
- 会社のインターネットの入り口(ルーターまわり)に、UTMなどの機器が付いているかを確認する
- 自分で判断がつかなければ、無料診断で外からの見え方と社内の状態をまとめて確認する
入り口を固めたら、次は「内側」です。社内で起きることへの備えは、続きの記事で解説しています。
→ 入り口を守るだけでは足りない?会社の「内側」を守る大切さ